保育士きずなプロジェクトにかける想い
2024/11/29
保育士を支えることは、子どもを支えること
工藤いずみが「保育士きずなプロジェクト」にかける想い
一般社団法人sunnysmile協会では、保育士が一人で悩みを抱え込まず、安心して働きながら、笑顔で子どもたちと関われる環境をつくる「保育士きずなプロジェクト」に取り組んでいます。
職場の外に安心して悩みを話せる人をつくること、一人ひとりの特性や強みを活かせる環境を考えること、そして発達や子育てについて学ぶ機会を届けること。
なぜ、子育て支援に長く取り組んできた工藤いずみが、今「保育士を支えること」に力を入れようとしているのか。
プロジェクトに込めた想いを聞きました。
――なぜ今、保育士さんの支援に取り組もうと思ったのでしょうか?
私は、保育士さんって、もっと社会的に評価されていい仕事だと思っているんです。
子どもたちは幼少期、保育園やこども園でかなり長い時間を過ごしますよね。
一緒に遊んで、ご飯を食べて、お昼寝をして。泣いたときに寄り添ってもらったり、できなかったことができるようになった瞬間を一緒に喜んでもらったり。
そう考えると、保育士さんは、子どもの人生の土台がつくられる時期に、とても長い時間関わっている人たちなんですよね。
私はずっと、「すべての子どもたちが、生まれてきてよかったと思える社会をつくりたい」と考えて活動してきました。
だったら、子どもたちだけを見ていてもダメなんじゃないか。
子どもたちのそばにいる大人が、安心して笑顔でいられる環境をつくることも、子どもたちを支えることになる。
そう考えたとき、保育士さんを支えることは、私がこれまでやってきた子育て支援の延長線上にあることだと思ったんです。
――保育現場には、どんな課題があると感じていますか?
特に気になっているのは、人間関係などで悩んでいても、それを職場の中ではなかなか言えないことです。
たとえば、同僚との関係で悩んでいるときに、その相談を同じ職場の人にするって難しいですよね。
「こんなことを言ったらどう思われるかな」
「園長先生に言ったら大ごとになってしまうかも」
「みんな大変なのに、自分だけ弱音を吐けない」
そうやって、最初は小さかったモヤモヤを飲み込んでしまう。
そして、それが積み重なって、
「もう無理です」
「辞めます」
と言ったときには、本人の中ではもう限界まで来ていることもあると思うんです。
そこで初めて「話を聞くよ」「何が嫌だったの?」と言っても、もう気持ちは決まっている。
だったら、そこまでいく前にできることがあるんじゃないかと思っています。
――そこで「保育士きずなプロジェクト」が生まれたんですね。
はい。
「保育士きずなプロジェクト」は、保育園・こども園を対象に、保育士さんが安心して働き続けられる環境づくりを支援するプロジェクトです。
大きく考えているのは、
職場の外に安心して話せる人がいること。
一人ひとりの特性や強みを活かすこと。
発達や子育てについて学び、子どもへの理解を深めること。
この3つです。
転職を勧めたり、保育士さんの働き方そのものを変えたりすることが目的ではありません。
今いる保育園の中で、保育士さんが一人で抱え込まず、その人らしく力を発揮しながら、子どもたちと関われる環境を園と一緒につくっていきたいと考えています。
――「職場の外に話せる人がいる」ことを、とても大切にしているんですね。
そうですね。
私は、「相談」という言葉にするからハードルが上がることもあると思っていて。
もっと、
「ねえ、今日こんなことがあってさ」
「ちょっと聞いてよ」
くらいでいいと思うんです。
別に、毎回何かを解決しなくてもいい。
誰かを悪者にする必要もない。
ただ、自分の中に溜め込む前に、一度外に出せる。
職場とは少し離れた第三者だからこそ、利害関係を気にせずに言えることもあると思います。
そういう小さな段階で話せる場所があれば、気持ちを整理できることもあるし、本当にサポートが必要なサインにも早く気づけます。
「辞めたい」と言われてから引き止めるのではなく、「辞めたい」になる前に支える。
そんな仕組みをつくりたいんです。
――一人ひとりの「特性」を活かすことも、プロジェクトの特徴ですね。
同じ保育士さんでも、得意なことって全然違うと思うんです。
子どもと遊ぶことが得意な人もいれば、制作が得意な人もいる。
保護者とのコミュニケーションが得意な人、行事を企画するのが得意な人、人をまとめることが得意な人もいる。
逆に、苦手なことだって当然あります。
でも、苦手な部分ばかりを見て、
「もっと頑張らなきゃ」
「私は保育士に向いていないのかもしれない」
となってしまうのは、すごくもったいない。
その人がどんな特性を持っていて、どんな場面で力を発揮しやすいのか。
それを本人だけではなく園側も理解できれば、業務の任せ方や役割分担も変えられるかもしれません。
全員が同じことを同じようにできるチームではなく、それぞれの違いや強みを活かせるチームをつくる。
それが結果的に、保育士さんにとっても園にとってもプラスになると思っています。
――発達の凸凹や子育てについて学ぶ研修も行っていくのは、なぜですか?
これは、子どものことを理解できるようになると、保育士さん自身も楽になると思っているからです。
たとえば、じっと座っていられない子がいたとします。
何度言っても座らないと、
「どうしてこの子だけできないんだろう」
「どう言えば分かってくれるんだろう」
と、関わる側も疲れてしまいますよね。
でも、発達やその子の特性について知ることで、
「この子は困らせようとしているんじゃなくて、この子自身が困っているのかもしれない」
と見方が変わることがあります。
すると、
「どうしてできないの?」から、「どうしたらできるだろう?」へ。
関わり方の選択肢が増えていきます。
子育てや発達について学ぶことって、子どものためだけではないんです。
目の前の子どもを理解できるようになることで、育てる側の「どうしたらいいの?」も減っていく。
私はずっと、子どもを理解するための学びは、育てる人自身を楽にするための学びでもあると思っています。
――sunnysmile協会が掲げる「育てる人を育てる」ともつながりますね。
まさに、そこなんです。
私たちはこれまで、子育てをしているお母さんたちを中心に、「育てる人を育てる」ということを大切にしてきました。
子どもを変えようとする前に、育てる側が学ぶ。
自分自身を知る。
目の前の相手を理解する。
そして、関わり方の選択肢を増やしていく。
これは、家庭でも保育園でも同じだと思っています。
だから私の中では、「子育て支援」と「保育士支援」は別々のものではありません。
どちらも、子どもを育てる人を支える活動です。
――「保育士の社会的地位を高めたい」という想いもあるそうですね。
あります。
保育士さんがしていることって、「子どもを預かる」だけではないですよね。
発達を見ながら関わって、集団の中で一人ひとりの様子を見て、子ども同士の関係をつないで、保護者にも寄り添う。
人を育てるための、とても専門性の高い仕事だと思っています。
だから、保育士という仕事そのものが、もっと社会から評価されてほしい。
そして保育士さん自身にも、
「私たちがやっている仕事って、子どもの未来をつくっているんだ」
と誇りを持ってほしいと思っています。
保育士さんが大切にされる社会は、子どもたちが大切にされる社会にもつながっていくと思います。
――これから、どんな保育園を増やしていきたいですか?
一言でいうなら、「育てる人が育つ保育園」を増やしたいです。
困ったときに一人で抱え込まなくていい。
自分のできないところばかりではなく、強みを活かして働ける。
そして、発達や子育てについて学びながら、目の前の子どもをより深く理解できる。
私は、保育士さんに「もっと頑張ってください」と言いたいわけではありません。
むしろ逆で、
子どもを育てる人自身も、支えられていい。
と思っています。
保育士さんが安心して笑顔で働ける。
その笑顔が、目の前の子どもたちに伝わる。
そして子どもたちが、安心できる大人との関わりの中で育っていく。
私は「すべての子どもたちが、生まれてきてよかったと思える社会をつくりたい」と考えています。
その未来をつくるためにも、子どもたちだけを見るのではなく、子どもたちのそばにいる「育てる人」を支えていきたい。
保育士を支えることは、子どもを支えること。
保育士きずなプロジェクトを通して、そんな環境を一つずつ増やしていきたいと思っています。
保育士きずなプロジェクトについて
「保育士きずなプロジェクト」は、一般社団法人sunnysmile協会が取り組む、保育園・こども園向けの保育士支援プロジェクトです。
職場外の相談環境、一人ひとりの特性を活かした組織づくり、発達・子育てに関する研修などを通して、保育士が安心して働き、子どもたちと笑顔で関われる環境づくりを支援しています。
また、2024年11月に開催された「第2回 国際女性企業家コンテスト」では、「保育士きずなプロジェクト」についてプレゼンテーションを行い、準グランプリを受賞しました。


