「育児は、最強の人材育成」──己育てで社会を変えるリーダー 工藤いずみに聞く
2025/06/17
──子育てから社会を変える、己育てのリーダー・工藤いずみさんに聞く
今回は一般社団法人sunnysmile協会代表の工藤いずみさんにお話を伺いました。

Q. どんな活動をしてますか?
一般社団法人sunnysmile協会の代表理事として、「心・技・体」の3つの柱を軸に、ママを笑顔にする講座やコミュニティの運営を行っています。
具体的には、子育てコーチング・発達心理学・五行気質分類など、子どもとの関わりを学ぶ講座、腸活・薬膳・自己肯定感を整える講座、さらにマーケティングやWEB関連のスキルアップ講座など、幅広く展開しています。
現在、協会の認定講師は400名を超え、延べ1,100名以上のママたちに学びを届けてきました。
Q. その活動を始めたきっかけは?
きっかけは、息子の出産でした。
理想の母親像と、現実の自分とのギャップに大きく悩みました。
私は元々子どもが大好きで、高校時代の夢は「お母さん」。
いいお母さんになるために、発達心理学が学べる大学へ進学し、研究や実習を重ね、教育業界でも働いていました。子育てには自信があったんです。
それなのに、実際の育児はうまくいかない。
なんで泣いているのかも、自分がこんなにしんどい理由も分からない。
それを誰にも言えず、一人で抱え込んでいました。
そんなとき、ふと読んだ1冊の本が、私の心をふっと軽くしてくれたんです。
「こんなに子どもが好きな私ですら大変なのだから、世の中のお母さんたちはもっとつらいんじゃないか」
そう思いました。
知識があるだけで、救われる人もいる。
だったら「育児を学べる場所を作りたい」。
それがすべての始まりでした。
保育士さんですら、育児に悩んでいた
「保育」と「育児」はまったく違う
それに気づいたとき、私の使命がはっきりした

Q. 協会を立ち上げるまでの道のりは?
最初は、とにかく多くのママの声を聞きたいと思い、マーケティングやオンラインビジネスを徹底的に学びました。
息子と20時に就寝し、3時に起床、毎日朝6時までの3時間を勉強の時間にあて、育児と仕事と勉強をこなす日々でした。学んだことを実践しながら、いつのまにか、メールの文章が書けるようになり、WEBページが作れるようになり、動画を撮って編集できるようになり、広告を回して集客できるようになりました。
そして、ひとり1時間、1日に8人と話すほど、困っている方を集めて相談に乗るというのを繰り返していました。
そんななか、保育士さんがたくさん相談に来てくれました。
「実は…私、保育士なんです。こんなこと誰にも相談できなくて」
と涙をこぼす方もいました。
このとき、強く思ったんです。
「保育」と「育児」はまるで別もの。
それなのに、育児を学べる場がないのはおかしい、と。
「子育てを学ぶことを、当たり前の社会にしたい」
そんな想いに共感してくれたママたちが、どんどん集まってきました。
子育ての悩みは、単なる知識不足だけではありません。
自分の心のゆとり、時間の余裕、働き方の不自由さ……
さまざまな要因が絡み合っていたんです。
だから私は、
「学んだことを仕事にできる」働き方を広げたいと思いました。
子どもとの時間も大切にしながら、自分のやりたいことも諦めない。
そんなお母さんを増やすために、sunnysmile協会を立ち上げました。
Q. 協会の理念「己育て」とは、どんな考え方ですか?
「己育て」とは、“子育てを通じて自分自身を育てる”という考え方です。
子どもと向き合うなかで、自分の感情や価値観、思い込みに気づく瞬間があります。
それを丁寧に見つめ直し、自分を整えていくことで、よりよく生きる力が育まれていく。
そんな自己成長の循環を大切にしています。
「子どもを変えようとするのではなく、まず自分を整える」
「親として、子どもに誇れる生き方をしたい」
この価値観が、協会のすべての土台にあります。
Q. 協会として大切にしている3つの柱について詳しく教えてください。
sunnysmileでは「己育て」を実現するために、3つの柱――「心」「体」「技」を大切にしています。
具体的には、「子育て」「健康」「働きか」の3つのサービスに分かれています。
子育て:
発達心理学・気質理解・感情コントロール・コーチングなどを通じて、子どもとの関わり方を体系的に学びます。
正解のない育児において、自分なりの軸をつくり、各家庭の“わが家の正解”を見つける土台を整えることが目的です。
健康:
腸内環境・薬膳・栄養学など体の知識と、自己肯定感など心の整え方を学びます。
「元気であること」は、ママの笑顔の源。心と体のバランスを整えることが、家庭の安定にもつながります。
働き方:
在宅でできる仕事の選択肢や、講師としての収入の得方、AIやSNSの活用法まで、
“自分に合った働き方”を見つけられるようサポートしています。
この3つを通して、ママたちが“自分らしく・安心して・誇りをもって”生きられる社会をつくることが、私たちの目指す未来です。
Q. 印象に残っている受講生の変化はありますか?
たくさんあります。本当に数え切れないほどの変化を見てきました。
たとえば、「学び始めて1週間で怒らなくなった」「イライラしなくなった」「夫が協力的になった」など、家族全体が変わった方も多くいます。
なかでも印象的だったのは、
「子どもが不登校になって、何もできなくなっていた」というママが、講座を受けて
「私が変わったら、子どもが笑うようになった」と涙ながらに話してくれたこと。
また、「私なんて…」が口癖だった方が、今では協会の講師として生徒さんに慕われ、
「ただの主婦だった私が、人の人生を変える立場になれるなんて思ってなかった」と笑ってくれたこと。
誰かの人生が変わる瞬間に立ち会えることが、何よりの喜びです。
子どもたちが「生まれてきてよかった」と思える社会をつくりたい
すべては“子どもを取り巻く大人”の笑顔のために

Q. 今後、挑戦したいことは?
私のミッションは、
「すべての子どもたちが、生まれてきてよかったと心から思える社会をつくる」こと。
そのためにはまず、ママが笑顔でいることが大切です。
目指しているのは、「子育てを学ぶことが当たり前になる」社会のインフラづくりです。
その一歩として、無料で育児が学べるアプリ『sunnymoms(己育て学院)』を開設しました。
また、ママの不安に寄り添う発達相談窓口『カラフルなび』も広げていきたいと考えています。
さらに、『保育士きずなプロジェクト』として保育士の離職を減らし、社会的地位を高める取り組みも進めています。
保育士、ママ、地域――子どもを取り巻くすべての大人が笑顔になる仕組みを作りたい。
そして個人的には、地域に根差した学童のようなサードプレイスをつくるのがずっと夢です。
子どもたちの居場所であり、ママやパパも気軽に集まれる場。子どもも大人もともに学び成長する場。
温かいごはんと笑顔があふれる、そんな場所を全国に広げていきたいです。
Q. ママとしての「夢」は何ですか?
家族全員で世界を旅することです。
以前、息子に「お母さんって、なんで仕事してるの?」と聞かれたことがありました。
私はこう答えました。
「すべてのママと子どもたちを幸せにするためだよ」
すると息子は「じゃあ、応援するよ」と言ってくれたんです。
その言葉に、どれだけ救われたか分かりません。
すべてのきっかけをくれた息子に感謝しながら、
「育児って楽しい」と思える社会をつくっていきたいと思っています。
そしていつかその夢が少しでも叶ったときは、家族で世界を巡り、
新しい価値観や文化をたくさん吸収したいですね。
Q. 最後に、この記事を読んでいるママたちへメッセージをお願いします。
あなたは、もう十分に頑張っています。
でも、「頑張り方」を変えるだけで、育児も人生も、もっと楽になります。
泣きたくなる日もあるし、自信をなくす日もある。
でも、「自分を育てよう」と一歩踏み出したママは、誰よりも強くて優しい存在だと思います。
育児は、最強の人材育成。
子どもを育てながら、自分も育つ。
そんな未来を、一緒につくっていきましょう。
【プロフィール】
1991年大阪府生まれ。北海道函館市在住。
大阪大学人間科学部にて比較発達心理学を専攻し、子どもの発達についての研究を行なう。卒業後、大手学習塾に入社。新規事業「海外大学進学プログラム」を立ち上げ、エリート教育に携わる。
その後、「『子育てを学ぶ』を当たり前の社会に」「子どもの笑顔のために、まずはママの笑顔から」を理念とする一般社団法人sunnysmile協会を設立。


